元利均等返済シミュレーション

繰上返済額分散の愚 

このページは2004/4/10更新
03/11/25創設


 ここでは、ある検証結果を通じて繰上返済のあり方をある条件にて考察します。「金利の高い方」「返済期間の長い方からの優先返済で「では、どっちなのだ?」と言う問いかけに双方共固定金利・期間短縮型という前提では、どんな微少な金利差でも本来の返済能力を加味した計算法によれば「金利の高い方への優先返済で良い」と言うのが結論でした。が、そこで、例えば金利低長期物が途中から金利高(11年目等)となっている場合は、その金利差と返済時期・繰上額等々の条件によっては「長期物への優先返済の方が有利な場合もある」と言う結論も当然予測できます。ではそこで、その境界はどこにあるのでしょうか。ある例で短期物の金利を変化させてみてその検証を行います。    (参考に繰上時期を変化させたものも示しています)−−平成15年11月27日主要記述−−


質問内容

当初2.5%、11年目(丁度10年後)以降4%で、1330万円借り入れ、35年返済 →低金利で長期物(途中から高金利)
別途5年後に、2.8%で600万円借入、固定金利で10年返済  →中間金利で短期物
   の2つの融資がある場合
翌年の6年後に200万円の資金で期間短縮型で繰上返済の場合、
その計算上の最適方法があるならば問いたい。

尚、どちらかへの繰上が有利不利となる境目の短期物金利を提示願いたい。
 と同時に、その場合「繰り上げ返済の最適化?の矛盾」でも出てきているが、
長期物と短期物へ分散して繰上する最適なポイントというのはやはり存在しないのか?


さあ、貴方なら上のご質問にどう対処致しますか?

私共の計算結果のみ表示します、将来ご自分で検証してみて下さい。
現未公開新バージョン(Ver7.5以降?)で可能です

 前提として「繰り上げ返済の最適化?の矛盾」で述べている−返済能力を加味した計算法
で検証するものとし、純粋な繰上額の効果を比較検討するものとします。


次のグラフは結果のみですが
赤色で示された支払利息総額が
左端2つの落差の劇的な大きさから
繰上返済200万円による効果が良く分かります
今回は金額効果は小さいものの、そこより右側の部分を検討します

短期物2.8%固定の場合−繰上無しの場合を含む


このグラフでは、繰上返済の総予算額200万円を、
長期物から短期物へ20万円の刻み(グラフ→方向)で変化
させたことによる結果です。
例えば、800000とあるところは長期物へ80万円・短期物へ120万円繰上返済すると言う意味です。
が、今回目的の肝心なところが良く分からないので、最初の項目(返済無し)を省略して以下グラフを表示すると・・・


以下、赤いラインに注目してパラパラ漫画のようにしてご覧下さい

短期物2.8%固定の場合


赤色で示された純粋な支払利息総額は右肩上がり、すなわち、長期物の方へ返済した方が明らかに有利なことが見て取れます。


短期物2.9%固定の場合


支払利息総額は右肩上がり、すなわち、長期物の方へ返済した方がここでも有利なことが見て取れます。


短期物3.0%固定の場合


支払利息総額は一方的に右肩上がりではない傾向が現れました。


短期物3.1%固定の場合


あれれーと言う感じで、ピークは左へ寄っていきますが、
左端と右端を比べると、まだ長期物の方へ返済した方が有利ですね。
一方で、分散しての繰上返済が不利な状況が読みとれるでしょうか?


短期物3.2%固定の場合


さてどうですか?ピークはさらに左へ寄り、今度は、短期物の方へ返済した方が有利な状況が出現。
繰上の一括返済では、長期物から短期物への移行の境界はこの場合3.1%から3.2%の間にあることが分かります。
とはいえ、分散して返済することはさらに多くの利息を要求され余計不利なことも理解できます。


短期物3.3%固定の場合


ピークはさらに左へ寄り、明らかに短期物の方へ返済した方が有利な状況となりました。


短期物3.4%固定の場合


この時点で、完全に短期物の方へ返済した方が有利な状況で、分散繰上返済してもそれなりとなります。

           以上で、パラパラ漫画は終了です。

結論

 2段階の金利設定のある長期の融資 と その中間金利にある短期の融資 がある場合の繰上返済に於いては、その繰上返済額を分散して返済に充当することは愚の骨頂でしかなく、分岐点を境にしてどちらか一方に全額繰上返済する方がより賢明であり、特に分岐点前後においては分散繰上返済はさらに不利となる。
                         と言うことが言えると思います。
 よって、その分岐点短期物金利の見極めによって、長期物か?短期物か?への一括繰上返済の方が有利である。

 今回の場合短期物金利が2.8%なので長期物への優先一括返済で良い。どちらへ繰上返済するかは短期物が3.1%から3.2%の間にある(詳細検証では3.167%前後)を境として、より短期物金利が低ければ長期物へ優先返済、より短期物金利が高ければ短期物へ優先返済、と少なくとも繰上返済を一括して行うべしで、「最適な分散返済」と言うものはない。

 誤りや皆様のさらなる反論がございましたらご指摘下さい。

(データ)

分散効果検討一覧表

 上記各グラフの計算結果データ一覧 (平成16年4月10日Ver7.8にて再度検証確認の上掲示)


(参考)

 では、次の場合はどうでしょうか?

 上記結果で、短期物3.4%の場合は、明らかに短期物の方が有利でしたが、この金利はそのままとして、
200万円の資金で期間短縮型で繰上返済の場合に、その繰上時期による分岐点はどうか?
と言う疑問が次に起こります。

 72月回(6年後)の分は直上のグラフですが、78月回(6年半後)・84月回(7年後)・90月回(7年半後)・96月回(8年後)・102月回(8年半後)・108月回(9年後)として、繰上時期を6ヶ月毎ずらしたグラフで次に結果のみ表示します。

では、再度パラパラ漫画の始まりです。

・78月回(6年半後)繰上の場合


・84月回(7年後)繰上の場合


・90月回(7年半後)繰上の場合


・96月回(8年後)繰上の場合


・102月回(8年半後)繰上の場合


・108月回(9年後)繰上の場合


 もうお分かりだと思うので、コメントさえも省略しています。

結果は、7年9ヶ月後あたりで、短期物へか?長期物へか?の分岐点があることが分かります。


この様な処理比較の出来るバージョンはVer7.7以降です。
公開されていますので出来る限りVer7.8を追加して
皆様の任意の条件で是非ともシミュレーションして下さい。
そして新たな発見を当方の掲示板なり
皆様のホームページで是非とも公開下されば幸いです。


以上「元利均等返済シミュレ−繰上返済額分散化の愚−」



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