元利均等返済シミュレーション

繰り上げ返済の最適化?の矛盾 

このページは2004/3/9更新
01/4/1創設


 gooで「繰り上げ返済」で検索したときに出てきたあるサイトで、複数ローンの繰り上げ返済の−最適化−を以下のように提唱していました。その矛盾点の指摘をしたいと思います。ある意味おもしろい例なので、一緒に考えてみて下さい。


住宅ローンなどの繰り上げ返済を上手にしよう

ローンが複数あった場合、いったいどうやれば一番効果的なのでしょうか。
一般的には、金利の高いものから順番に繰り上げ償還するというのが定説のようですが、はたしてそうなのでしょうか。
たとえば、
   A: 年利8%、融資残額150万円、月返済額 24,157円 の自動車ローン
   B: 年利3%、融資残高300万円、月返済額 21,080円 の住宅ローン

があった場合、100万円の予算で繰上げ返済するには、どうすればよいのでしょうか。

(1)金利の高いAを繰り上げ返済の場合

Aに998,483円 充当すると消滅する利息は 402,623円

(2)で、最適化すると

Aに451,290円、Bに540,658円、計991,945円充当した場合、消滅する利息は 509,645円
と案分するだけで利息に10万円分の差が出てしまいました。

 −−中略−−

となり、最適返済が更に重要になってきます。 というわけで、−−中略−−
対応しているのは、元利均等で、期間短縮の繰り上げ償還だけですが、ふつうこれだと思うので問題ないでしょう。


さあ、貴方なら上の論理展開にどう対応致しますか?

私共の反論・結論を見る前に一度ご自分で考えてみて下さい。
数値設定は以下のようにして近似したいと存じます。

元利均等返済シミュレーションでは次のように設定して算定するものとします。(端数処理は赤-緑-赤、1期分=1ヶ月と設定)

   A: 年利8%、融資残額150万円、月返済額 24,026円 の自動車ローン は返済期間6年9ヶ月 が相当
       [最終まで]の結果は支払利息合計=\446,109・・・・・a1
   B: 年利3%、融資残高300万円、月返済額 21,090円 の住宅ローン は返済期間14年8ヶ月 が相当
       [最終まで]の結果は支払利息合計=\711,849・・・・・b1

そのまま繰り上げせずに続けると支払利息合計総額=\1,157,958

反論

(2)の場合  から検証してみましょう

Aに450,000円Bに550,000円、と繰り上げ分を近似化して

   A: 年利8%、融資残額105万円、月返済額 24,026円 の自動車ローン 返済期間6年9ヶ月 として設定
       月均等返済額欄は24026とタイプ
       [最終まで]の結果は、返済期間4年4ヶ月で終了して、支払利息合計=\195,281・・・・・a2

   B: 年利3%、融資残高245万円、月返済額 21,090円 の住宅ローン 返済期間14年8ヶ月 として設定
       月均等返済額欄は21090とタイプ
       [最終まで]の結果は、返済期間11年6ヶ月で終了して、支払利息合計=\447,808・・・・・b2

a2b2=繰り上げ返済の最適化?なるものを適用した支払利息合計総額=\643,089

成る程、差し引き514,869円の利息が消滅しました。

(1)金利の高いAを全て繰り上げ返済の場合

   A: 年利8%、融資残額50万円、月返済額 24,026円 の自動車ローン 返済期間6年9ヶ月 として設定
       月均等返済額欄は24026とタイプ
       [最終まで]の結果は、返済期間1年11ヶ月で終了して、支払利息合計=\40,069・・・・・a3

a1-a3で成る程、差し引き406,040円の利息が消滅し、
上と比較すれば差引108,829円不利が生じているように見えます。
・・・・・・・!
さあ皆さんはこれで納得でしょうか?


     さて、問題はここからです。翌月の2年目以降から24,026円の負担が無くなっている
のに気づいていない。 皆様はどうですか?

     実はB:は2年目からは21,090円+24,026円の計45,116円の返済能力有りとして計算しなければならないのです。
     ただし、Aは本来6年9ヶ月までなので6年10ヶ月以降は21,090円に戻します。

   B: 年利3%、融資残高300万円、月返済額 21,090円 の住宅ローン 返済期間14年8ヶ月 として設定
       この設定で1年11ヶ月まで期を進めます。次に月均等返済額欄は45116とタイプ
       この設定で6年9ヶ月まで期を進めます。次に月均等返済額欄は21090とタイプ
       [最終まで]の結果は支払利息合計=\390,926  返済期間7年11ヶ月で終了・・・・・b3

a3b3=金利の高い繰り上げ優先すると支払利息合計総額=\430,995

差し引き726,963円もの利息が消滅

   尚、より(2)との比較感を強調したい場合は

     Aの本来6年9ヶ月ではなく、(2)でのAの返済が終わる4年4ヶ月として4年5ヶ月以降は21,090円に戻します

   B: 年利3%、融資残高300万円、月返済額 21,090円 の住宅ローン 返済期間14年8ヶ月 として設定
       この設定で1年11ヶ月まで期を進めます。次に月均等返済額欄は45116とタイプ
       この設定で4年4ヶ月まで期を進めます。次に月均等返済額欄は21090とタイプ
       [最終まで]の結果は支払利息合計=\477,101  返済期間11年丁度で終了・・・・・b4

a3b4=金利の高い繰り上げ優先すると支払利息合計総額=\517,170

差し引き640,788円の利息が消滅

結論

どうですか? (1)は、(2)よりも実は125,919円の利息消滅効果が上乗せされるのです。
さらに、ローンに悩まされる期間も、Bで6ヶ月短縮されるのです。
やはり、繰り上げするなら金利の高い方からが鉄則です

本来との比較では726,963円もの利息削減に加え、
Aの負担とその期間が実質そのままなら、Bで6年9ヶ月間も短縮されます。
これが今の100万円を繰り上げ返済する効果といえましょう。

 賢明な元利均等返済シミュレーションのユーザーは数字のマジックに引っかからないで下さい。
返済手数料も2カ所なら馬鹿にならない。
 均等返済額の増額が認められるかはいろいろなケースがあるでしょう。たとえ駄目でも、(1)の額よりは多少利息や手数料が増えましょうが貯まった額を毎年のように繰り上げ返済すれば良いわけです。
 結論的には金利の高い方への優先返済で良いのです。

 誤りや皆様のさらなる反論がございましたらご指摘下さい。


(参考)

負担軽減を無視すると

(1)の全額Aへの場合

   A:  はa3返済期間1年11ヶ月で終了して、支払利息合計=\40,069

   B: はb1の支払利息合計=\711,849

a3b1で支払利息合計総額=\751,918

成る程、差し引き406,040円しか利息消滅しない

全額Bに繰り上げすると

   A: はa1の支払利息合計=\446,109

   B: 年利3%、融資残高200万円、月返済額 21,090円 の住宅ローン 返済期間14年8ヶ月 として設定
       月均等返済額欄は21090とタイプ
       [最終まで]の結果は、
返済期間9年1ヶ月で終了して、支払利息合計=\285,585・・・・・b5

a1b5で支払利息合計総額=\731,694

差し引き426,264円しか利息消滅しない


金利格差のある2つの融資で、一方へ偏った極端なこの2つの参考例は一見大差なく見え、
その中間の数値(a2b2)を提示されると最適ポイントがありそうに見えますが、
そんなことはありません、実は大切な視点が抜けているだけなのです。
幸い「元利均等返済シミュレーション」には、時点管理が可能です。
私共もよく陥りますが、よくよく検討して、その混乱を整理して下さい。


緊急告知 : 繰り上げ返済の最適化?の矛盾-続編-

公平で適切でない前提での解説には、何卒ご留意下さい
他サイトを批判するつもりはありませんが、その影響力を懸念したための緊急掲載で
既存の特集を改めて理解していただく良い機会となれば幸いです


以上「元利均等返済シミュレ−繰上返済最適化?の矛盾−」



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